的までの距離は何で28mなんですか?


近的の距離は、全日本弓道連盟競技規則により、射位から的までを28mと定められ、現在どこの道場でも同じである。これは、武徳会時代の十五間半をメートル単位に換算したものである。
近的の距離は下記の経過をたどったものと思われる。
(1)安土だけで、射小屋がなく、野天で弓を引いていた時代。距離については「弓溝の中まで。弓十三杖・十五杖・十七杖にても」とあり、近的の距離は固定されていなかった。
(2)射小屋ができて、地方ごとに近的の距離が固定される時代。幕末には関東(十六間半)と関西(十 三間半)で異なっていた。明治以降(武徳会)十五間に統一された。
(3)武徳会以降
手先十五間(射位から十五間半)に全国統一された。
そもそも近的の距離は、どのような基準で決められていたのだろうか。日置流では、戦は槍隊と弓隊で共同して行動していた。槍隊の後ろに弓隊が控えていた。槍隊の間隔は、三間槍であるから、繰り出して三間、繰り込んで三間都合六間、双方あわせて十二間となる。弓隊はその後ろに待機していたので、的前は、十二間近からず、十五間とする。(日置流弓目録第三十七條 槍脇射様の事)とあり、現在の近的競技の射位と的の距離は、戦の時の自陣と敵陣との距離とも考えられる。

コメントを残す